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ルッカ・マンガ・ミュージアム!

 けれどステキなおまけは最終日にやってきました。
 「ルッカ コミック&ゲームス」にはほんとうにたくさんのパビリオンがあって、いくつものイベントをあちこちで同時にやっています。城壁の周りにはゲーム関係のブースも集まっていて、初音ミクのイベントなどもあったようですが、さすがにそこまでは時間的に無理。が、ルッカにはマンガ・ミュージアムがあると聞いて、そこだけは見なければ!結果は、予想以上。
 とはいえ、とくにイタリアマンガの歴史を一望できるような常設展があるわけでもなく、原画展には見張りが誰もおらず(!)、入り口には「National」と書いてあるけれど実は国立ではなくルッカ市立で、全体にかなりゆるいミュージアムです(笑)。でも当日、それぞれ今年で50・40・30周年を迎える「DIABOLIK」「Dago」「Martin Mystere」の展示が行われていたのを、ミュージアム職員のGianfranco Bechiniさんの解説付きで見学することができ(感謝!)、いろいろ貴重な情報を得ることができました。
 それによると、このミュージアムは2004年10月に開館。ルッカがコミック・フェスティバルで有名だといっても、お祭りは年に数日だけのこと。終わると何もなくなってしまいます。それではいけない、フェスが終わっても「ルッカはマンガの街だ」ということを常に示すものが必要だ、というので作られたのだそうです。

 常設展はありませんが、イタリアの有名なキャラクターの展示はいくつかあって、まず1階に置かれているのが、1917年に生まれたイタリア初のマンガキャラクター「BONAVENTURA(ボーナ・ベントーラ)」。ダックスフンドと思われる胴体の長い犬を連れた、坂田靖子の絵を思わせるこの剽軽なキャラクターは、すごくいい人”で、何かいいことをすると必ず「100万」(当初はリラ、今はユーロ――ものすごく値上がりしてないか!?) もらっておしまい。という展開。
 それからジャン・ルイジ・ボネッリ原作の「TEX」。これは19世紀半ばのアメリカを舞台にした西部劇で、主人公はインディアンの味方をする保安官。1948年に最初の物語が描かれて以来、月に1冊、アメコミと同じ判型で発売され続けている、イタリアでは「DIABOLIK」(1962〜)と並ぶベストセラーだそうです。

 一方、原画展示中の「DIABOLIK」はというと、こちらは鋭い短剣のような眼だけを残して全身黒づくめのボディスーツに包まれた「怪盗」で、イタリアを代表するダークヒーロー(私たちがそれまで街のあちこちで見かけ、イタリア人は「忍者」が好きみたい…と言い合っていたあれは、この「怪盗」だったのか!)。高度成長期のミラノを背景に、お金持ちの二人の姉妹(ギッサーニ姉妹)によって生み出されたキャラクターで、若い二人は「新しいヒーローを作ろうよ!」と話し合い、「ロバート・テイラーのような眼光!」「それいい!」「いい人じゃつまんないから悪くしなきゃね」。かくして二人が原作者となり、作画スタッフを雇って出版し始めたこの「DIABOLIK」、3巻目でエヴァという女性と出会い、恋に落ちます。施設で育った主人公に対し、エヴァは貴族の出身で、ノーブルで美しく、知的でパワフル、おまけにナイスバディ!そこから二人で大活躍。彼らは躊躇なく人を殺すかと思えば、悪い奴からしか盗まず、恩人には忠義を尽くす。これがイタリアで大受けし、けれど親や先生や教会は大反対。とうとう裁判にまでなったけれど結局セーフに。なんとかOKになったのは、警察に力を持たせ、悪く描かなかったことが一つの要因だとか。その後、イタリアでは「サタニック」など、似たような設定のものが次々に生まれますが、今でも圧倒的に人気なのがこの「DIABOLIK」。高度成長によってミラノなどの大都市では30分から1時間の通勤を余儀なくされ、その間に読む読み物としてポケット版で普及しました。今でもポケット版で毎月1冊出版され続け、出版権は15年前から作画家のゴンボリに譲られました。
 他方、30周年の「Martin Mystere」は「インディ・ジョーンズ」のような物語だそうで、もう一つ、40周年の「Dago」は中世の騎士の冒険譚。実はこれはイタリアと縁の深いアルゼンチンのマンガで(作画:カルロス・ゴメス)、驚くべきことに、アルゼンチンから作者を招き、ルッカを舞台とした物語を描いてもらって、その原画を展示しているんです。なじみのあるルッカの街が舞台になっているマンガを見るのは楽しいけれど、アルゼンチンからわざわざ作家を呼んでルッカを舞台とした作品を描かせるなんて、その思いきりの良さにびっくりです。

 さて、このミュージアムにはなんと「図書館」もあり、さっそく見せてもらいます。すると――なんと、ここには、1908年に創刊された、子供向け日曜新聞「コリエーレ・デ・ピッコリ」のバックナンバーがずらりとそろってるではありませんか!「コッリエーレ・ディ・ピッコリ」は、「フメッティ」(イタリアマンガ)の父と呼ばれるアントニオ・ルビーノが創刊編集長をしていたマンガ新聞で、イタリアのマンガの歴史においては最重要ともいえる資料。あちこちにその代表作は展示してあるし、ほんとうにここに来てよかった!おまけに、探していたミロ・マナラの本がずらりとあり、しかも割引!
 実はミロ・マナラは今年ルッカに来ていて、「ショーケース」で絵を描きながらファンの質問を受ける予定でした。私たちもいさんで聞きに行ったのですが、これが突然キャンセルに。しかたがないので、わざわざこのために何時間も電車を乗り継いで来たという男の子にインタビュー。まだ十代だという彼は、父親の影響でミロ・マナラのファンになったそうで、サインしてもらうために持ってきたというその本が、映画監督のフェリーニとのコラボレーションで作られた貴重なもの。ほしいな、と思っていたそれがここにある!おまけにこれまでイタリアで出版された主なコミックすべてのデータブック(全2巻)まで!しかも半額!
 このフェスティバルの4日間を通して感じたのは、イタリアの人はほんとうに「お祭り」が大好きで、マンガが大好きだということ。通りには人々が溢れ、本当に楽しそう!フェスティバルはどこも盛り上がるものだけれど、ルッカのコミック・フェスティバルほど、みんなが陽気に存分にマンガを楽しんでいるところを見たことがない気がします。いつか、もう一度、と願いながら――アリデベデールチ、ルッカ!


藤本由香里 ふじもとゆかり
評論家・明治大学国際日本学部准教授
07年まで編集者として働くかたわら、コミックを中心に評論活動を行ってきた。マンガ学会理事。著書に『私の居場所はどこにあるの?』(朝日文庫)など。


※画像の無断転載を禁じます。

写真提供(敬称略): 藤本由香里、共信マンタロー



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