4.「PTAは規制に賛成」なのか?
環乃夕華 漫画家
環乃夕華と申します。新宿区内で子どもが小学校に通っており、PTA活動を行っております。今回の条例に賛成表明している「東京都小学校PTA協議会」(都小P)という団体の声明文を読んだときに、変だと思いました。学校や知り合いのPTAの方に聞いてみましたが、そんな声明について意見を求められた覚えはないという。都小Pの方に問い合わせましたが返事がない。調べたところ、東京都小学校PTA協議会という団体に所属しているPTAは、23区内のうち5区のみ。23区内のうち5区しか所属していない団体が「私達PTAは賛成します」と公式表明しているという…。さらに詳しくは、川端さんの方からお願いします。
川端裕人 作家
川端裕人です。6年前に息子が世田谷区の小学校に入ったのを機に、PTAに首をつっこむようになりました。本日お伝えしたいのは、PTAの連合体、都小P(=東京都小学校PTA協議会)ですとか日P(=日本PTA全国協議会)とかいう団体が、必ずしも保護者の代表とは言えないということです。
都小Pは、23区のうち、足立・荒川・世田谷・文京・目黒の5区だけしか入っていません。都下の市は全く入っておらず、あとは檜原村と、大島・神津島・八丈島・新島の4島。これが都小Pの実態なんですね。もっとも、全国的には、道府県レベルのPTA連合といえばほとんどの小中学校PTAが入っています。だから東京都の場合は、とくに代表性が疑われる。
僕が住んでいる世田谷区は都小Pに入っている区です。で、身のまわりのPTA会員20人くらいに聞いたんですけど、誰もこの条例のことを知りませんでした。今年役員をやっている友人さえ知らなかった。都小Pに属するPTAの役員さえ聞いてないということは、つまり「条例に賛成する」という都小Pの意見発表そのものが、もうちょっと別のところで判断がなされたということです。
PTAの意志決定がどのようにされているのかを軽く解説しておきます。たとえば、世田谷区には64校小学校がある。64校で、世小Pという団体を作っています。64校のPTA会長やPTA役員が集まるのは非常に大変なので、64校を8つのブロックに分け、ブロック会というのを開きます。ブロック会の代表が常任理事校という名前で、1校1年の任期で8年間でグルグルまわる。その8つのブロックの代表が集まって月に1回くらいのペースで会合を持ち、それが事実上の執行部になっている。また、常任理事ではない理事――PTA会長と校長のことなんですが――を含めた理事会が年に2回。さらに、世田谷区立小学校PTAのおよそ2万世帯の保護者と教職員会員が対象になる総会が年に1回。ちょうど今この時期です。ほかの区にも同じような仕組みがあります。そして足立とか荒川とかの5つの区のPTA連合が組み合わさって、都小Pを作っている。
都小Pの役員がどうやって選ばれるか。加盟市区町村PTA連合の役員経験者から推薦されて、最初に理事が選ばれます。その時点で現役の保護者でなくなっている場合がほとんどです。子どもが小さい場合、区レベルでの活動をやりながら都小P役員をやるのは大変困難だからですが。で、理事を何年かやっているうちに都小Pの副会長をやってみないか、といわれたりする。そして、会長がやめるとなると、副会長の中から会長が選ばれる。そういうふうにヒエラルキーが何階層もあって、末端のPTA会員がなにかを言ったとしても、それが都小P幹部のほうに届く可能性は限りなくゼロだ、ということを理解していただけたと思います。
今回の件については、いろいろ調べてみたところ、例えば世小Pで話し合った結果が都小P役員に行った、という流れではないことは明らかです。以上、解説ですが、詳しいことはブログにも書いておきますのでご覧ください。
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