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B コミックマーケットにおける表現規制の基準

Y:表現の規制に関してですが、性的表現を直接描いてはいけないという制約が、かえって表現を高度化させたという部分はありますか?

I:見せ方の構図は、かなり高度になりました。「直接描けばいい」みたいな流れだったものが、どうやって隠すかという方向に変わったわけですから。日活ロマンポルノじゃないですけど、足で隠すとか、液体の描写を増やして隠すとか、いろんなパターンが生まれました。一方最近では、その種の描写が成熟した結果、その反動とでもいうのでしょうか、またリアルに描こうっていう傾向が顕著になっていますね。

M:インターネットの普及により、ちょっとネットサーフィンすれば、いくらでも無修正の実写画像が手に入るということの影響も大きいですね。

I:性器がリアルにたくさん描かれている方が売れるという方向に向かっているので、修正が甘くなっているサークルが増加傾向にあり、当日対応する羽目になっています。

Y:コミケットで実施している自主規制は、一貫していますよね。むしろ一般の美少女まんがとかエロマンガの自主規制の方があやふやじゃないですか。時代によって見せることができたり、できなかったりの変遷というのもありますか?

I:一貫して言い続けているのは、「性器を修正してください」ということです。これだけは曲げてないですね。

M:繰り返し言われていることですが、例えば雑誌などは問題が起きても、潰してしまえば、終わりですけど、コミケットって何かの問題で潰れてしまうと、新イベント「コミックニューマーケット」とはいかない。そのリスクを考えると、若干厳しめに行かざるをえない。ただ商業誌の基準がずれれば、その商業誌に準じているコミケットの基準もずれていくことにはなるかと。

I:修正の太さとか濃さ等は、商業誌やコミックスを見てからの話ですね。

M:「明確な基準を決めてくださいって」サークル側が求めたりして、イベント主催者が「うちの基準はこうです」って言っちゃう場合があるんですが……。

I:コミケットは、社会の状況とたくさんの商業誌を見て判断しますからかなり柔軟に対応しています。松文館事件の時は、米沢は、公判の傍聴に行ったりしていましたし、いついかなる時も勉強しなければいけないと思っています。

M:ただ、これだけ普通にインターネット経由で海外の無修正を見ることができる世の中で、がんばって修正する意味がどこにあるのかなっていうのは、素朴な疑問としてありますねぇ。

Y:最近、書店で売っている成年マークのついてる商業誌の消しの甘さって相当じゃないですか?

I:ものによっては、冒険している感じはありますね。コミケットでも冒険したい時もありますが、それはできない。とはいえ、実際に同人誌を見て、これは本当に「この性器はなければならないんだ」「ストーリーから考えたらないといけないよ」と思ったならば、それはもう修正する必要ない、ということも考えていますね。

Y:可能性としてはあると。作品というものがあって、その中で完結していて、それがないと完成しないっていうのであれば、仕方がないのかなと。

I:仕方がないというか、作品である以上は、いつかは作られるであろうと思っていますし、実際映画の場合だと、作品やカットによって修正しない場合が出てきています。

Y:それは面白いですね。

M:発言が踏み込んでますね(笑)。

I:米沢も「それで戦わなかったら我々はいつ戦うんだ」って言ってたわけで、その血を受け継いでいるものとしては、日々考えますね。


おわりに
─コミックマーケットの永続に向けて─


Y:むしろ規範を作るのって、コミケットという空間なのかなと私なんか思っているんですよ。アマチュアリズムのしがらみのない世界の中で、もしかすると、同人ゲームや同人まんがの規範に関する模索とか典型とかっていうのが作られていく空間になり得るのかなという。これだけの人が集まっていると、そういうこともできるんじゃないかと考えたりもするんですよね。

I:ただ、コミケットが基準にはなりたくないですね。我々は社会の中でどうやって平均や中間をとれるかを考えています。コミケットには現在は3万5千サークルが参加していますけど、そういう部分に抵触しそうなサークルはいくつあるんだという話になります。一方で、それらのサークルも切り捨てたくないのも事実なんです。ひとつひとつが全部大事だから、それだけを特別扱いするわけでもないし、平均した配慮が大事なんです。

M:コミケットの規制に関しては、どうやって理念を曲げずに折り合いをつけるかってところでできた制度だと思います。そういう意味においてはある種の大人の対応なのかもしれませんが、本当に譲れないところは譲らずに済んできたところだと思うんです。そこに至るまでに、相当努力をしたはずだし、いろんなコネクションも使っただろうし、会場側と折衝も積み重ねてきたということは、『30年史』とかでも語られています。でも、外部から言われた通りにやるのであれば、一番安全なところでやってくださいって話にしかならないはずなんです。

Y:そうですね。

M:もちろん、「TOO BIG TOO FAIL」的な話とか、様々な要素も絡んでくるので、一概に言い切れない話ではあるのですが、やはりがんばるところはがんばらないと、何のために同人誌を売る「場」を作ってるんだ? という話になります。

Y:なるほど。その時点では最良の選択をするということですね。

I:我々はよく白黒つけずにグレーという言い方をするんですけど。

M:それは、グラデーションのあるグレーなんですが(笑)。そして、そのグレーも世の中の動きにしたがって変わっていく。それって別に猥褻の基準だけじゃなくて、コミケットの様々な部分でもあるように思います。多分、大昔のコミケットの運用規定だったら、レギュレーション違反で参加できないサークルって、現状相当あると思うんですよ。でも、規定に固執することなく、現実的な対応を取ったり、それでもはみ出したりしちゃう人がいたりすると、規定を変えて穴を塞いだり、その辺は、常に今に合わせながら動いてる部分がある。それはパロディの問題でもそうでしょうし。

Y:パロディなどは、あからさまにやってはいけないということですね。

M:そこはちょっとぼかすとして(笑)。準備会だけが決めるわけじゃなくて、サークルやジャンルの規範というものも時代によって動いている部分があります。コミケットの場合、基本的にずっと言い続けている理念の部分があるので、そこに照らし合わせて、是か非かを判断できる分だけやりやすいでしょうね。拠って立つものがあるので、それを念頭において、今やっていることは、正しいのか正しくないのかってことを、常に検証しながら現実にあわせていける。その現実というのは、例えば規制もそうですし、一般参加者の数やサークルの数もそうですし、世の中からの注目ですらそう。こうした全部と折り合いをつけながら上手く回していくためには、拠り所があるっていうのは非常に重要だと思います。僕は米沢さんの最大の功績はその仕組みを構築したことだと、かねがね思ってるんです。

Y:声高に反対するというわけではなくて、訴えるところは訴えて、引くところは引くということですよね。

M:引き方も上手く引くのが肝要ですね。

I:91年の時には、コミケットが開催できなくなったらどうするかって話をしましたよ。最後に本当にできなかったら「アパートの一室でも何でもやる」っていう米沢の一言がありましたからね。

M:ちょっと活動家っぽいなぁ。大変米やんらしい(笑)。

I:「そうならないようにがんばってもらわないと」と、話を振ったら、「そうだよねぇ」って言ってました。

Y:結果的には上手く乗り切ったわけですしね。

I:現在もコミケットが継続しているにあたっては、あの時に苦労しておいて良かったと思うし、その時の対応などをみても、さすが米沢だと僕は思いました。

M:色々と問題が生じている今日この頃なので、市川さんをはじめとする共同代表にもがんばってもらわないと(笑)。

I:極端に大きく流れを変えたくはないし、流れはこのままゆるやかに、大河のごとく上手くながれてくれればいいかなと思います。

Y:コミケットという場がなくなるのは、日本のコンテンツ文化にとって大きな損失なので、とにかく継続して欲しいと願っています。

I:やっぱり百年続けたいというのがあります。本当にハレの日になるには、百年二百年続けていかないといけないので、これからもしっかりと続けていきます。


 今回も、若い読者の方には、置いてきぼりな感じの固有名詞が多数出てきますが、注釈をつけるスペースがありませんでした。ネットでの検索で、勉強してみて下さい。

イラスト:代打BARA
Produced by AIDE新聞編集部



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目次
表紙
座談会
コンテンツ文化史的にみるコミックマーケットの激動期 2
前文
I. 1988〜1989年におけるコミックマーケットの状況
II. 90年代初頭のコミックマーケットとコンテンツ文化 ─表現規制の問題を中心に─
おわりに ─コミックマーケットの永続に向けて─
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