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■80年代前半におけるコミックマーケット

 先に述べたように、70年代のコミックマーケットをはじめとした即売会の運営と活動は、女性ファン層が主導していたと総括できる。80年代初頭になっても、この状況に大きな変化はなかった。70年代〜80年代初頭のコミックマーケット参加者の男女比をみると、圧倒的に女性の参加率が高かったことがわかる。
 80年代初頭の女性参加者について注目すべきは、従来のような少女漫画、女児向けアニメのみならず、男児向けのアニメ、特にロボットアニメに登場するキャラクターを題材にした女性サークルと同人誌が増加していったことであろう。早くは1976年放送の『大空魔竜ガイキング』でサブキャラクターのピートやサコン・ゲンなどが女性ファンの注目を集め根強い人気を誇るという現象もあったが(図版④)、『機動戦士ガンダム』ブームの折にジオン軍の将校シャアやガルマの人気が沸騰したことを受け、さらに1981年より放送が開始されたJ9シリーズ3部作(『銀河旋風ブライガー』『銀河烈風バクシンガー』『銀河疾風サスライガー』)や『戦国魔神ゴーショーグン』の敵幹部・ブンドル局長、『六神合体ゴッドマーズ』のマーグなどが女性ファンに支持されるようになり、多くの同人サークル、同人誌を生み出すキッカケとなった(図版⑤)。また、そのような動向の中から著名な同人作家が生まれた。女性が作るこれらの同人誌の特徴は、その多くが男性キャラ同士の同性愛描写(直接、間接を問わず)に割かれており、この時期にその総称としての「やおい」の語も定着した。
 そのような状況の中、男性ファンのコミックマーケットへの参入が目立つようになるキッカケの一つが、いわゆる「美少女同人誌」(当時の言葉でいえば「ロリコン同人誌」)の登場であった。その嚆矢とされる『シベール』の発行は1979年である。文字もない黒い表紙を持ったこの漫画同人誌を作った作家たちは、いくつかのサークルに分派しながら、1980年代に顕在化する数多の美少女同人誌の基盤を築いていった。現在の基準でいえば、創作少女系にも近いといえるこれら初期美少女同人誌の特徴は、後年男性向け同人誌の中心テーマとなるアニメーションのパロディ(アニパロ)よりも、むしろ人形愛、幼児嗜好、異生物愛、同性愛などを観念的、哲学的に表現する雰囲気を持っている点にあり、そこに漂う文学性は、『ガロ』、『COM』などの60年代末〜70年代の実験的な商業漫画雑誌に、女性がこれまで作り上げてきた同人誌、ファンジンの要素を織り交ぜた結果の産物であったといえるだろう。例えば、シベールショック以降の重要な美少女同人誌である『エピカル』第1号にみえるアングラな雰囲気と少女漫画の影響を思わせる表現技法などを、70年代末の代表的な女性漫画同人誌『絵魔』と比較して欲しい(図版⑥-1、⑥-2)。これは、前述の通り、同時期に少年漫画においてラブコメが実践した、少女漫画と少年漫画との融合とも相通ずる部分であり、くしくもオーバーグラウンドとアンダーグラウンドのフィールドにおいて、漫画というコンテンツがその枠を広げる際に、70年代に発達した少女漫画や女性制作による同人誌の要素を受け入れていったことを示している。80年代初期〜中期の同人誌の特徴を考えると、明るい未来志向が見える一方で、「70年代的」なるものの影をはらんでいる内容が多い。端的に表現するなら、ポップな軽薄さと文学的色彩の同居という矛盾が見られるということであり、その部分こそがまさに80年代初期の同人誌の特徴といえるのかも知れない。その後、1984年ころまでには、人形嗜好を極めた『人形姫』、奇形・異端の極北『漫画ゾンビ』、ファンタジーへの傾斜をみせた『アスケロン』、美少女主義に徹した『Alice』、現在にまでつながる武装メカ少女の先鞭をつけた『ソルジャーレディ』など、商業誌では掲載不可能と思われる独自の漫画が掲載された美少女同人誌が氾濫し、一時代を築いていった。男性向け同人誌を制作・販売するサークルへの購入者の行列が登場するのもこのころからである。
 また、同人誌即売会が、アニメ雑誌などの専門的なメディアに取り上げられ、その存在がアニメ・コミックファン層に認知されるようになったのもこの時期であり、ときおり週刊誌、新聞、テレビなどの一般メディアに興味半分でとりあげられる機会も増えていった(それら一般メディアによる報道の多くは誤解を含んだものでもあった)。
 このような状況を念頭に置いた上で、コミックマーケットの全体像をみると、従来の女性サークルが増加したことに加え、男性のサークルも急増し、女性参加者中心というコミックマーケットにあって、男性参加者の存在をアピールしていった。また、80〜85年にかけて、参加サークルがいっきょに10倍になっていることも注目すべきである。
 いっきょにその存在を巨大化させていったコミックマーケット文化は、1980年代の後半にいたって爛熟の傾向を見せ始め、1989年にいたって、ある種の飽和状態を迎え、ある劇的な事件をきっかけに、崩壊寸前の状況に追い詰められていくのである。


図版④
80年代にまとめられた『大空魔竜ガイキング』のピートとサコンを中心とした同人誌『おまえざき』(PETE&SAKON FC、1984年)。
図版⑤
JETや浪速愛らを中心としたJ9シリーズONLY同人誌『Final YEAH!』。
図版⑥−1
さえぐさじゅんを中心とした創作系漫画同人誌『絵魔 VOL-3』(1978年)
図版⑥−2
シベールより派生した美少女同人誌のさきがけ『エピカル VOL.1』(1981年)計奈けいじ(和猫)、このま和歩、沖由佳雄らが参加している。


4

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目次
表紙
戦後コンテンツ文化の発展にみるコミックマーケットの意義 - その1
はじめに
1950〜70年代の社会状況の変遷とコンテンツ
70年代のコンテンツ系サークルの成立とコミックマーケットの誕生
80年代の社会状況とコンテンツ
80年代前半におけるコミックマーケット
80年代後半におけるコミックマーケット
メルクマールとなる1989年 ─むすびにかえて─
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