共信印刷WEBサイト
AIDE新聞
→ ホームAIDE新聞コミケ72カタログ出張版(発行:2007.7.21) <<Back <!>Reload
各号へ
コミケ92
アフターレポ
2017夏
コミケ92
カタログ
掲載版
コミケ91
アフターレポ
2016冬
コミケ91
カタログ
掲載版
コミケ90
アフターレポ
2016夏
コミケ90
カタログ
掲載版
コミケ89
アフターレポ
2015冬
コミケ89
カタログ
掲載版
コミケ88
アフターレポ
2015夏
コミケ88
カタログ
掲載版
コミケ87
アフターレポ
2014冬
コミケ87
カタログ
掲載版
コミケ86
アフターレポ
コミケ85
アフターレポ
2013冬
コミケ85
カタログ
掲載版
コミケ84
アフターレポ
2012冬
コミケ83
カタログ
掲載版
コミケ83
アフターレポ
コミケ82
アフターレポ
2012夏
コミケ82
カタログ
掲載版
コミケ81
アフターレポ
コミケ80
アフターレポ
2011夏
コミケ80
カタログ
掲載版
コミケ79
アフターレポ
コミケ79
カタログ
出張版
コミケ78
アフターレポ
コミケ78
カタログ
出張版
コミケ77
アフターレポ
コミケ77
カタログ
出張版
コミケ76
カタログ
出張版
コミケ75
カタログ
出張版
コミケ74
カタログ
出張版
コミケ73
カタログ
出張版
コミケ72
カタログ
出張版
コミケ71
アフターレポ
コミケ71
カタログ
出張版
コミケ70
アフターレポ
コミケ70
カタログ
出張版
コミケ69
アフターレポ
コミケ69
カタログ
出張版
コミケ68
カタログ
出張版
イベント
レポート
エピタニメ
コミケ67
アフターレポ
コミケ67
カタログ
出張版
コミケ66
アフターレポ
コミケ66
カタログ
出張版
2004 春号
アンヌの
コミケ参加
体験記
コミケ65
アフターレポ
コミケ
カタログ65
出張版
コミケ64
アフターレポ
コミケ64
カタログ
出張版
AIDE Magazine
2003 Spring
AIDE Magazine
2002 Summer
コミケ61
カタログ
出張版
第44号
第43号
第42号
コミケ57
カタログ
出張版
第41号
第40号
第39号
第38号
第37号
第36号
第35号
第34号

望月克也(弁護士)
 私は松文館事件*の弁護人をやっておりまして、そちらとの関係で表現の自由の問題について関わっていくようになりました。ちょっと話ずれるんですけども、先ほど永山さんのお話聞きまして、私もまったく同意見です。実は松文館事件にかかわる前は、私もネガティブな印象を持っていたのが正直なところで。つまりアンダーグラウンドだとか、ゲリラ的なイメージを持ってたんですけども、同事件に関わって、現場の方たちはものすごい考えているんだとか、例えばゾーニングの話とかがそうなんですけれども。今日の前半でも話が出てきたように、誠心誠意対応されているというのが印象的でした。
 たぶん外部の方っていうのは私が当初抱いていた、その誤った認識と同じような印象を持ってるというのが事実だと思うんですね。ましてや松文館事件みたいにいざ裁判所にいった場合には、そういったところに関わる人はなおさらだろうと。そういうことから、外部に分かってもらう活動は非常に重要だろうと思います。
 話は先ほどの坂田さんの話に戻りますけれども、みなさんぜひ一度は法律に目を通していただくことをおすすめします。法律の文章は一読しただけでは分からないのもいっぱいあります。例えば175条の話が出ましたけども、ちょっと読みますと「わいせつな文書図画その他の物を頒布し、販売し、または公然と陳列したものは2年以下の懲役、または250万円以下の罰金、もしくは科料に処する」と。「販売の目的でこれらの物を所持した者も同様とする」と。刑法上は「わいせつ」という4文字しかない、この「わいせつ」というのは具体的にどういうものかというと、あとで出てくるかもしれないですけど、チャタレイ判決とかがその内容を具体的に示してくれていたりします。
 今、児童の話が出ましたけれど、児ポ法で児童とは18歳に満たないものをいう、っていうのは確か明示されていたと思いますんで、その関連したところだけでもいいんですけども、一度目を通していただくと。で、一度見ただけじゃたぶん分からないことってのがいっぱいあると思うので、その辺についてどのように考えればいいんだろうっていうところを、現場と徐々にうまくリンクしていって、いい具合に発展していければいいんじゃないかなと思います。

松文館事件*
'02年10月、松文館より発行されていたマンガ単行本が刑法第175条に抵触するわいせつ物にあたるとして、著者、編集局長、松文館社長の3人が逮捕された。著者と編集局長は略式裁判により罰金が確定。松文館社長は無罪を主張し、1審では懲役1年・執行猶予3年の判決、2審では1審判決は重過ぎるとして罰金150万円の判決。被告はさらに上告するも'07年6月、最高裁で上告は棄却され、これにより2審判決が確定した。


坂田:日本には表現の自由という、ひとつの大きな守られた権利がありまして、そのもとで我々は創作活動ができるということだと思うんですね。その中で、受け手の側の選択権であるとか、読んで不快になっていく側の気持ちというものもあると思うんですが、そこらへん藤本さんいかがですかね。

藤本由香里(編集者・評論家)
 その前に、私は'91年の有害コミック問題のあたりからずっと表現規制の問題というのに関わってきています。まずこの91年の事件は、朝日新聞社の社説から始まり、その間に、同人誌の性表現のきついものを売っていたということで、書店員の方が逮捕されるというとんでもないがありました。これがきっかけになって、これは黙っていてはいけない、表現の自由に対する一方的な規制には反対しなければというので、社会的に大きな盛り上がりを見せていきました。
 ただ、現在、同じような事件が起こったときに、そのときに見られた反発とか、表現の規制には慎重であらねばならないという良識が今も働くかというのは、未知数です。現状を見ると、そのあたりは後退しているのではないかという危機感も私は抱いております。
 だから今回、「バーチャル社会のもたらす弊害から子供を守る研究会」が結論としては法規制にはいかないとなっていることにちょっとほっとしたところがあります。
 しかし、例えば法律改正といったことでこの先もう一回、問題として浮上してこないとも限らない。そういうことも踏まえて、表現の自由に関しては、私たちはきちんと考えていかなければならないと思っています。
 と同時に、今までは同人誌は商業出版ではないということで、比較的、表現的には何をやってもいいんだ、問題にならないんだとする傾向がありましたが、最近では書店でも同人誌が置かれ、それからネットでも自由に販売できるということで、そうした規制の対象として浮上してきているのだと思います。
 そのなかで、「表現の自由」というのは基本的には、「公権力からの自由」ということであって、それは誰に対してもどんな表現をしても守られるべきだ、ということではない。それを私たちは自覚しなくてはならない。表現っていうのは、他者を傷つけることもあるわけですし、表現をしていく時には必ず、表現をする者の責任というものが存在します。
 それでいうと、やはり'90年前後にある同人誌、文章の同人誌ですけれども、その中で「やおいなんて死んでしまえばいい」と、ゲイの方から、やおい表現はゲイに対する非常に大きな差別を含んでいる、という告発がされたことがありました。もちろんこれは法規制とか、公的な表現規制とかとはまったく何の関わりもないことです。しかし私たちはこの時、自分たちが好きで表現しているものの中に、他者に対する働きかけの部分、読む人にある一定の価値観というものを醸成していってしまうがゆえに責任を持つべき部分があるのだということに直面せざるをえなかった。そういう意味で象徴的な出来事だったと思います。
 そういうことでいいますと、今日第一部のほうでコミックシティの方などから、とくに女性はBLなんだからわいせつ罪には問われない、だから何をやってもいいんだ、という意識がまだ強いんじゃないか、というような指摘がありました。確かに男女の性交以外で、わいせつ罪で摘発されたということは現状はあまりないです。しかし、このシンポジウムが始まる前、望月先生に確認いたしましたところ、刑法175条で「わいせつ」というのは男女の性交だけに限るというふうなことが条文化されているわけではなく、今のところ男女の性交以外が摘発されていないのは、今まではそうだった、ということに過ぎないということでした。
 プラス、仮に刑法が適用される確率は少ないとしても、青少年条例というものには確実に引っ掛かってきます。これが先ほどから何回か出てきている、18禁ということです。この18禁の成人マークをつけるというのは、まさに'91年の有害コミック騒動をへて決まったことなんです。確かに表現の自由は守られなければならない。しかし、年端の行かない子どもに対する影響も考えなくてはならない。それを考えるとやはりゾーニングは必要であろうと。成人マークを付けて、成人とそうでないものをはっきりと区別するということで、表現の自由と、表現の子供への影響を心配する人々との間の共通のルールが作られたということですね。そのことはひとつ認識していただきたいと思います。
 それから、先ほどから何回か出てますけど、やはり同人誌に対して、もっといえばマンガというものに対してかもしれませんけれども、非常にネガティブなイメージを持っている方が、一般的にはいるわけですね。それに対して私たちが何をやっていけるかというと、やっぱりこちらの責任感を見せるということだと思うんです。つまり我々が、同人誌なんだから何をやってもいいんだと思っているわけではなくて、表現者として責任を取る姿勢があるのだ、ということを見せることができれば、それは、規制を押し戻していく力になっていくんじゃないかと思います。
 先ほどから、コミケットの基準が商業誌よりも厳しいという話題が出ていますけれども、逆に、そうした責任感を示していくことで、長期的に考えた場合には、大きな意味での表現の自由を守ることができるという、そういう判断に基づいているのだと思います。
 私も今回、二重三重のチェックがあるということを、初めて詳しく知りました。同人誌は無法地帯だと考えている人に対して、そういう業界の自助努力がなされていることを広く知ってもらうことは力になると思いますし、と同時にわたしたち自身が、表現に対する責任というものを感じていくということが大事なのではないかと思います。

望月:補足させていただきます。わいせつ175条の話なんですけれども、チャタレイ事件判決で“いたずらに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの”っていうのが基準になってて、これは今でも生きていると。その判断としては、性交場面の量ですとか度合いっていうのはファクターのひとつにはなってます。
 ここにいう性交というのは男女が想定されているとは思うんですけれども、性器そのものの表現とか性戯、そういったものもファクターとして挙がってますので、BLに限らず女性同士っていうのも、理屈としては当たる可能性があると。性交場面がないというので若干低く見られるかもしれないですけれども、可能性はあると認識いただければいいのかなと思います。




4

(←)前ページへ ・ 次ページへ(→)

目次
表紙
報告!!「同人誌と表現を考えるシンポジウム」
第1部 今、どうなっているのか? 〜現場からの発言〜
第2部 どうすべきなのか? 〜有識者討論〜
 <<Back  ★Home  ↑Up  <!>Reload  □Mail
©1997-2011 KYOSHIN PRINTING CO.,LTD