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■リトルボーイが「完全スルー」されたその背景■
 リトルボーイは、マンハッタン地区のイーストリバー脇、国連本部のすぐそばに位置するジャパン・ソサエティー・ギャラリーにて'05年4月8日にスタートし、7月24日、3か月にわたった会期の幕を下ろした。
 同展覧会には総計3万人以上が来場し、ジャパン・ソサエティー・ギャラリーはじまって以来のスマッシュヒットとなっただけでなく、地元ニューヨークでの報道量も膨大なものであった。また、日本国内においても新聞や一般誌などではかなりの頻度で取り上げられていたので、そうした記事に目を通した人も少なくないはずだ。
 ぼくも実際に4月5日〜10日まで渡米し、作品セッティング途中の煩雑な光景や、プレスカンファレンス、とんでもなく華やかな(もちろんそれがひどく鼻につく)オープニングレセプション風景などを取材したわけだが、ここではあえて、ぼくの主観に基づくリトルボーイ評は記さずにおきたいと思う(そのあたりをどうしても知りたいという奇特な方は、『美術手帳』'05年6月号をご一読いただければ。一刀両断にバッサリと書き綴っていますので)。
 が、ひとつだけ言っておくとすると――リトルボーイ以前に開催されたふたつの展覧会を実際にオタクが眺めた場合、おそらくは、「なんていい加減なことを……」とあきれ果てたはずだ。しかし、成田亨のウルトラ怪獣ドローイングが壁面いっぱいに飾られ、その奥に、岡本太郎の“太陽の塔”のオブジェが、大伴昌司の怪獣解剖図が、ヤノベケンジの“アトムスーツ・プロジェクト”が、そして、DAICON IVオープニングアニメーションを上映するモニターと大量の原画&セル画(なんと現存していたのだ!)が一同に集められた空間にはひどく感動したし、会場を訪れた見知らぬ白人たちといっしょにDAICON IV〜を眺めていたぼくは、思わず涙腺がうるっとしてしまった。
 もちろん、異国に出向いたとき特有のテンションの高さは差し引いて考えなくてはいけないが、過去2作と比した際、この展覧会が「オタクならば一見の価値アリ」というものであったことだけは胸を張って断言することができる。
20: 壁面いっぱいに飾られた、成田亨のウルトラ怪獣ドローイング。ものすごい迫力
21: 成田亨作品に続き、岡本太郎の太陽の塔、大伴昌司の怪獣解剖図、ヤノベケンジのアトムスーツ・プロジェクトが。なんたる高密度!
22: 怪獣解剖図の対面には、DAICON IVオープニングアニメーションのビデオ上映と原画&セル画が壁一面に
23: DAICON IV〜は、現ガイナックスのスタッフがアマチュア時代に手掛けたフィルム。オープニングでは、ガイナックス統括本部次長の神村康宏氏が解説役を務めていた

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目次
表紙
村上隆『リトルボーイ:爆発する日本のサブカルチャー・アート』展
そもそも「村上隆」とはいったい何者なのか?
なぜ村上はオタクから敵視され続けてきたのか?
過去2作とは明らかに異なるリトルボーイの内容
リトルボーイが「完全スルー」されたその背景
「パリおたく便り」第2弾
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