| ―フランスと日本の表現における違いはどこだと思いますか?またアメコミと比較するとどうですか? |
日本のマンガは、手塚治虫氏のアカデミックというか、かわいらしさが特徴のマンガが全ての原点にあると思います。キャラクターの「目が大きい」という特徴が、手塚氏の残した影響としてあげられるでしょう(笑)。『AKIRA』もそうですね。それと、日本はマンガはモノクロが基本なので、色彩表現に物足りなさを感じます。日本ではスクリーントーンが使われていますが、私には、トーンによってスタイルが統一されてしまっている印象を受けます。BDは、絵のスタイルも、使われる画材ももっと多様です。
また日本のマンガは、構造が映画的だと思います。コマがフィルムのように流れている。BDでは、ページ数が少ないのでアクションを短く描写する必要があり、結果的にイラスト的な表現になります。例えば、日本のマンガでアクションシーンが50ページあるとすると、私の作品の場合、4ページです。BDの表現は、コマとコマの間の余白の部分で、何があったかを読者に想像させますが、日本のマンガの場合、動きのプロセスを全部見せるんです。その違いは、良し悪しというよりは好みの問題、あるいはページ数の慣例の違いだと思いますが。
アメコミを見ると、1枚のコマをもっと細かく描いて表現しています。一言でいうと絵が「飛びますよ」「動きますよ」という「しるし」で終わっています。絵としては上手ですが、自分としては、そこから感じるものはないので、アメコミはあまり好きではありません。反対に日本では、絵のち密さで特徴的な人は多くありませんが、絵から動きを感じるところが好きなんです。あれだけ動感があるならば、細かい描写は省略してもいい。その二つの表現の中間にあるのが、BDだと思います。日本のように動きのある絵を、アメコミのようにち密に描いていく表現ができれば、最高のものが作れるのではないでしょうか。
私としては、アメコミ、BD、日本のマンガの間でテクニックの交流があればより面白いものができると思いますし、既にその試みは始まっているのではないでしょうか。寺沢武一氏などは、ヨーロッパ風の、コマ数が少なくち密なスタイルに近づいていると思いますし、逆に欧米の作家は、日本的なコマ数の多い動きを取り入れ始めています。
最後に、日本ではマンガが消費材としてとらえられているように思いますが、自分たちは、BDを芸術性の高い一つの文化だと考えています。だからこそハードカバーのしっかりした本を作るわけなのですが、読者層は日本ほど幅広くありません。今後はBDにおいても、芸術性を備えながらも商品性の高い単行本が現れるのではと思います。 |
| ―日本のコミックマーケットをご存じですか? |
| 知っていますが、行ったことはありません。友人にビデオを見せてもらいましたが、信じられない光景ですね(笑)。いつか必ず行きたいです。フランスでも、日本で人気のある同人誌が80ユーロ(約10,000円)くらいの値段で取引されることがあります。日本であまり高値のつかない本でも、フランスでは人気があって高額で売られることもあります。もちろん、その逆の場合もあり得ますが。 |
| ―アマチュア作家の同人誌を読んだことはありますか? |
| 実物を見る機会は少ないのですが、本の作り方、絵の描き方はとてもきれいですね。どうしてこの人がアマチュアなんだ?というくらい(笑)。日本では、マンガ家が1万人いると聞いていますが、それだけ作家の幅が広いのだと思います。プロになるのは大変でしょうね。プロになって同人誌を出さなくなった方にも、ぜひ同人誌を作り続けてほしいです。 |
| ―最後に日本のマンガファンにメッセージをお願いします。 |
| 日本のマンガファンの方には、自分達の文化、アイデンティティの魂を守って、ぜひそのまま活動を続けていってもらいたいです。国際化する時代の中にあっても、自らのアイデンティティを守ることが大切だと思います。 |