K: |
(辺りをグルグル見上げながら)昔の銭湯は、必ず煙突があったんだけどね。最近はあまり見かけないね。周りが高い建物だらけだから。 |
T: |
ホームドラマなんかで銭湯のシーンがあると、必ず煙突がありましたからね。作りもんですけど。 |
K: |
(突然、あるお店に入って行き)すみませーん。ちょっとお尋ねしますが……。

|
M: |
はいはい。 |
K: |
この辺に銭湯があるって聞いたんですが、どの辺かご存知ないでしょうか? |
M: |
銭湯は、みんななくなっちゃいましたよ。 |
K: |
(地図を差し出しながら)ちょっと……。えーっと……。ここは神楽坂ですよね。 |
M: |
えーっと。今、(神楽坂)駅の真上ですね。 |
K: |
(地図を見ると)ここから一番近いところは、『竹の湯』さんがいいですかね? |
M: |
ここに行かれるんでしたらね……。えーっと、ここをこうですから…。じゃあ、そこまで一緒に行きましょう。わかりにくいところだから。 |
一同: |
あ、ありがとうございます。 |
M: |
どうせ店の中にいたって、暑くてね。 |
一同: |
(笑) |
|

(M…碁盤店のご主人:御厨良一(みくりやよしかず)さん(1926年生)を先頭に裏道を歩き出す)
|
K: |
この辺の銭湯はもうなくなっちゃったのですか? |
M: |
ええ、たくさんあったんですがね。(指差して)ここにもあったんですがね。 |
T: |
やっぱり消える一方ですか? |
M: |
そうですねぇ〜。少なくなっちゃったんですよね。銭湯はいいですけどね。ええ、広々としてね。スキなんですけどね。 |
K: |
最近は銭湯には行ってないんですか? |
M: |
そうですねぇ、ご無沙汰で……。(突然、立ち止まって)そこが銭湯だったんです。 |
K: |
あっ、そうなんですか。 |
M: |
あそこの赤い看板が出ているところが、出入口でね。その下が釜場だったんです。 |
K: |
ああ、そうなんですか。 |
M: |
ここのところからずーっと下りていってね。廃材を燃やしていたんです。えーっと、煙突がそこに残っていますね。 |
K: |
ああ、『見晴湯』って、書いてありますね。 |
M: |
いい銭湯だったんですけどね。ご主人が体を壊しちゃってね……。それでやめられたんです。 |
K: |
ここには何度も入りに来たんですね? |
M: |
そうですね。 |
K: |
残念だったねぇ〜。 |
|

(再度歩き出して、十字路で道案内を始める)
|
M: |
(前方を指差して)あそこのところが十字路になっていますよね。 |
K: |
はい。 |
M: |
ここからまーっすぐ、ずーっと坂を下りていきますよね。そこに信号機があります。その信号機のあるところで、また人に聞いてください。その方が確実です。 |
一同: |
どうも、ありがとうございました。 |
|
(御厨のご主人と別れて銭湯を目指す) |