AIDE
(以下A): |
今回は同人活動の中での著作権や版権について、どんな問題があるのか、どんなことを知っておいたら良いのかという実際の例とアドバイスを、権利関係に詳しいKさんにお話を伺って行こうと思います。まず、漫画作品やアニメーションについて、著作権や、商標権、キャラクターのライセンスといわれる言葉を良く聞くのですが、これらが一体どんな権利なのか、どんな法律なのか、またどういったものを保護する法律なのかということを、分かりやすくお話いただけますでしょうか。 |
| K: |
「著作権」というものは、文字通り作品に対して発生する権利です。それとは別に「商標権」というのは、アニメーションのタイトル、ゲームのタイトル、そのロゴの形等々に生じる権利でして、よくゲームのタイトルの横に
TM(Trade Mark)という字があると思うんですが、これは商標権出願中のしるし。そしてこれが受理されますと、「まる−R」マークがつきまして、商標権の保持者となったことになります。最近コミックマーケットが商標登録されたという話がありましたが、これは「コミックマーケット」「コミケット」「コミケ」についてコミケット準備会が商標登録を得たということで、他の方が、イベントで「コミックマーケット」あるいは「●●コミケ」という言葉を使うことはできないということになっております。もし仮に使った場合は、使わないでくださいという依頼をする権利があり、従わない悪質な場合には、裁判所に使用の中止申し立てを訴えることができ、さらには損害賠償を請求できることなります。 |
| A: |
その場合、他の言葉と組み合わせて「●●コミックマーケット」とか「●●コミケ」という場合もそうですか? |
| K: |
そうです。もしどこかの地方の名前や個人の名前がついて「●●コミケ」と言った場合も一連の表示と認識されますので、これは商標権の侵害になります。どうして商標権の侵害になるかというと、コミケット準備会が運営していないにも関わらず、一般の消費者が「あ、これはあのコミケの仲間なんだ」と誤解をする、これが困るというのが第一の理由です。もしここでグッズが売られて「●●コミケ公認グッズ」というと、本当のコミケの公認グッズがそこで売られているかのような印象を一般の方に与える、それはコミケット準備会にとってもマイナスですし、誤解して買った消費者にとっても「だまされた」ということになりますので。…そうですね、著作権の分かりやすい例として、みなさんも良くご存知のルイ・ヴィトンを挙げてみようと思います。「ルイ・ヴィトン」の偽物がよく税関で摘発されて、「偽物は買わないように、売ることは犯罪です」という話があり、そのたびに著作権ということをよく耳にすると思います。著作権が誰を、また何を保護しているのかですが、まず直接的にはルイ・ヴィトンの権利を保護している、もちろん偽物を売ると本物の売上が落ちるわけですので、ルイ・ヴィトン社の権利を保護するために著作権がある、という考え方もあるでしょう。また、偽物を偽物と知らないで買ってしまう消費者もマイナスがあります。ということは、著作権があることによって、作り手=著作権の保持者と、同時に一般消費者も保護される、この点をご理解頂きたいと思います。著作権は著作権の保持者のみを保護しているわけではなくて、最終的には一般消費者をも保護していることになります。 |
| A: |
その考えをパロディとかファン活動としての同人誌活動に当てはめると、無意識のうちに、それらの権利を侵害してしまうようなこともあると思うのですが、実際にはパロディやファン活動としていろんな同人活動が行なわれてきた、…これはどういうことになるんでしょう? |
| K: |
著作権法違反というのは「親告罪」と言って、著作権を持っている人間が、警察に訴えて初めて犯罪として摘発されるものなんですね。ですから例えばみんなが「あ、悪いことやってる」といって横で見ていて、それを警察に訴えても、警察は動いてくれない、税関も動いてくれません。元著作権を持っている会社、作家が訴えて、初めて犯罪が成立するという特殊な法律になっています。で、今までに、例えば「自分の著作、本の内容を勝手に大学受験に使われた」と言って訴えた作家さんがいましたが、これも本人が訴えてこそ初めて事件になるのであって、勿論最初に断らなきゃいけなかったんですね。もし、最初に大学側が「使わせてください」と言ってお願いして、「いいよ」っていう言葉を貰っていれば問題にはならなかったんですよ。もちろん拒否する場合もありますけどね。同人誌活動って言うのは、元々はファンが好きで始めていることですので、こういった活動があるって言うことはおそらく殆どの版権元が知っていると思われます。そしてこれまでは、ファンがやっていることだから、小規模だから、特に営利を目的としているわけでもないから、ということで、ずーっと共存の関係が続いてきたと見ることができると思います。もし本当に同人活動を嫌うなら、もうずっと前に強い摘発を加えて、コミックマーケットという場そのものを潰すことも可能だったはずですから。実際には原作者の方々もコミックマーケットの中で自由に本を作って売っている、もしくは、コミックマーケットという場から、非常に売れっ子の作家さんたちが一般の消費社会に出てきて、キャラクター活動を続けている、こういったことがあると思います。漫画雑誌を持っている出版社などは、同人誌からこれから伸びる作家を拾いたいし。いろいろやっているけれども、それぞれはあくまでファンの活動で決して大きなものではないから、もしくは閉ざされた世界の中で、ファン達が納得して売り買いしているものだから、まあいいか、ということで許されてきたのでははないかと思います。いくつかの雑誌の方に聞きますと、やはり「公認もしないかわりに摘発もしないつもり…」であると聞いたことがあります。雑誌社として、「こういった活動を一般的に公認しているわけではない。ただし、だからといって著作権法違反で訴えるつもりもない」ということを聞いたことがあります。 |