●取材を終えて
AIDE:
(以下A) |
AIDEではずいぶん前から、台湾、香港、そして今回取り上げる韓国の漫画事情について取材をしてきたわけですが、読者の方は、なぜAIDE新聞はいまアジアなの?と思っているかも知れません。それは、私たちはAIDE新聞を通じて、コミケや同人を取り巻くいろいろな問題を取り上げて来ましたが、その一つに、コミケというものが今海外から注目されているということがあります。でもそれは、表面には見えにくいこともあり、多分コミケの「うち」の人はそれに気付いていないのではないか? という疑問があったんです。韓国人も台湾人も多分コミケにはたくさん来ているはずなんですが、その事実、そのことが持つ意味をコミケの参加者のどれほどが分かっているんでしょうか。コミケの理念に国境がないのなら、もっと多くの国の人を対象に、意識して発信していくべきではないかと思っているんです。今号は一冊まるごと韓国・同人界の特集なんです。今回のこの特集が完成したというのも原崇二さんという方がいたからなんです。原さんがいなければこの特集もみじめなものになったでしょう。原さんを紹介します。 |
原:
(以下H) |
どうも原です。私は韓国のアニメ漫画はもちろん、デザインや現代美術、いわゆる韓国のビジュアルクリエイティブ全般に関心があるんですが、そのあたりの追っかけをはじめて、そろそろ8〜9年くらいになります。最近特に気になるのは韓国の自主制作アニメです(笑)。 |
A: |
あ、確かお仕事もデザイン関係なんですよね(笑)。でもそうすると、漫画が専門ってわけではないんですね…。 |
H: |
いえ、実は中高生時代は作品評論系アニメオタクでして…(笑)。でも自分のなかでの関心の基準は、クリエイティブとして面白いかどうか、それだけです。美術だからお堅いとか、漫画だから低俗とか、ジャンルで偏見を持つのはおかしいでしょう?韓国でも、ジャンル間の交流やコラボレーションの試みが今盛んに行われていますから、自分の中に偏見があったら、その流れを読み取れなくなってしまうんですよ。 |
A: |
今回どういうアプローチで紹介すれば一番分かりやすいかと、私と原さんで考えていたんですが…。 |
H: |
先程「日本はアジアの現実を知らない」というようなことも話されていましたが、私がいつも感じているのは、日本と韓国の理解のアンバランスですね。韓国の人は日本についてよく知っている。「安室奈美恵」も「GRAY」も「SMAP」も日本の漫画も大好きだし、日本の文化をリアルタイムで感じている。誤解もたくさんありますけどね(笑)。でも、その逆はどうかと聞かれたら? 例えば韓国の普通の20代が、日常の中で何を見て、聞いて、話して、感じているか、そういう生活のリアリティが、日本には全然伝わってきていないでしょう?もし知ることができたら、それは面白くて楽しいことかも知れないのに、とてももったいない。読んでいる人にも、日本対韓国ではなく、漫画・アニメを愛する個人として、彼らの生きてる姿に向き合ってもらえるのではないかと思います。韓国に限らず、外国のことを知る時って「○○国際論」みたいなマクロな捉え方よりも、個人と個人が知り合って友達になって、そこからお互いの背景になる社会や歴史が見えてくるほうが、よりリアルに分かり合えると思うし。その辺りを、今回の特集から感じていただけると嬉しいですね。 |
原さん紹介
・今回の特集を強力にサポートしてく
れた韓国通(韓国オタク)とはどんな人

▲この7月の旅行中、韓国MBC(文化放送)の
深夜 DJ番組「モドゥガサランイェヨ」(愛がすべて)
にゲスト出演した時のスナップ。右が原さん。
原 崇二/1969年山梨生まれ
大学3年の時、偶然テレビで韓国のファッションデザイナー、「イ・シヌ(李信雨)」氏の作品を見たのをきっかけに、韓国のビジュアルデザイン文化全般にはまって早8年。現在は韓国の民法ラジオ放送も追っかけ中。インターネットでホームページ「韓国ラジオ放送の世界」を運営する他、NIFTY-SERVE
の韓国関連フォーラムにも出没。韓国語学習歴はいちおう6年。韓国旅行歴9回。一ノ橋海甲氏著「韓国カルチャー・ナビゲーター」(れんが書房新社)にて韓国DCブランドとラジオ放送の項記事執筆。コミケは29日東館ポ13「韓国ポピュラー音楽学会」にて出店。本人は期間中西館4F「世界の同人誌大集合」コーナーにいる予定なので、気軽に声をかけてくださいね!
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