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●青田刈り

共:

やおい系の商業誌は今どんな状況なんでしょうか?

C:

私が関わってからまだ4〜5年しか経っていないので、バブル以前のことは知らないんですが、その頃にどれだけおいしいことをしていたかというのはは全くわからないんですよね。一時期不況になってきて他のものが売れなくなった頃に、多量 の出版社がわぁーっと入ってきて、売れるのか売れないのかわからないのに薄利多売系っていうんですか。一つの会社で20作も30作もどんと出してみて、売れないから倒れていくという状況がかなり長く続いたんです。
去年の終わり位から書店で調べてみて明らかに変わってきたなというのは、よく考えて作っているところとか、出版社に持久力のある所しか残ってきていないんですよ。そうすると数も多少減ってきているんですけれど、売れそうな本しかないというか、よく作ってある本しかないんですね。そこで商売をしかけるのは高度な技術がいるようになってきているんじゃないかと思うんです。


共:

確か3、4年前に、大手の印刷物が減ったんですよ。どういうことかっていうと、コミックマーケットの大手という人達がコミックマーケットで本を出さなくなって…。

D:

特に女の子が減ったんですよね。

共:

どこにいったのかと思ってると「プロデビューしました」と。

C:

じゃあ、要するにフリーターから就職する感じなんですね。

共:

ところがですね、少し聞きかじりと推測を交えてみると、結局就職しないで同人誌を作ってきた人達が、「早く就職しなさい」と両親に言われていたんですが、一応商業誌に描けば「いや、プロになりました」と言うことができるわけですよ。でもまた舞い戻ってくる現象が起きてると思いませんか?

D:

そうだよねぇ。でも「一応プロです」って人が今でも多いよね。

共:

コミックマーケットで売った方が儲かったり、その出版社がつぶれたりしてるみたいですよ。だからその時期中小の出版社が大手の人達を青田刈りしたんでしょうね。

B:

それは美少女系にも同じことが言えますよ。

A:

その通りだと思いますよ。後発組が成立しているっていうのは、会社的な物の言い方をさせてもらえれば、私から見るとそういった一時的な動きはプロの世界ではなかったと。美少女コミックをだしている出版作家との関係がプロとしてなっていなかったんでびっくりしたというか。中身というのは様々あるんですけど、常識とかね。その関係がきちんとしていればそれぞれの社でもっと発展していただろうなと思うんですよ。

共:

同人誌即売会に出ていた作家さんを使う時の苦労話ってありますか?

A:

彼らと接してくどいていったりした時の最初の印象というのは、「素直だな」と。嬉しかったですね。
極めて素直でした。「彼らの方がプロよりもプロであった」と。それはどういうことかと言うと、自分で作品を描き、自分で編集し、自分で印刷所を見つけて、お金を払って、自分で読者と対面 して売るという、全ての印刷に関することを小さいといえやっているから、実感として持っているわけですね。だからいらぬ 説明がいらないという。
で、私らが相手にしていたプロというのはこの中の編集との関わりだけしか知らないから、その背景でお金が大変だとかっていうのは「そんなのは知りませんよ」となるわけです。同人誌をやっていた人はちょっと言えばわかるから、私はやりやすかったですね。
あとは編集方針との兼ね合いだけだから、折り合いがつけばいいわけで、商業誌からみると非常に有望であると。わがままだとか聞いていたけれど、そういう接点から接した場合余計なことは言わなくていいし、言えばわかるからよかったと。そうは言っても苦労もありましたよ。締め切り感覚がすごくズレているところがあるからそれはキチンとしないといけないし。あと世間で言うストーリーに弱いとかいうこともあります。
でも3000部なり5000部なり自分で作って売った力というのは評価しますから、そういうパワーが優先されますね。マンガは週刊誌が主体で月刊誌はだめだったんですけど、逆に美少女コミックというのは月刊誌で成立する。私らの感覚では連載っていうのが当たり前だけれど、それぞれゲストというか1回1回登場する形で成り立っている雑誌が結構あるのに驚いていると。つまり多様性があるということと作家の状況に合わせられる、読者層がきちんと計算できるジャンルだと思います。
あともう一つ、メジャーの方はどうなのかというと、そう新人は出てこれないわけだから、マンガ界全体を考えるとやっぱり新人発掘はコミックマーケットからなんだろうなという気がします。

B:

出版市場全体とマンガ市場全体を見ても一昨年辺りから下降線に転じていますよね。全体のパイはこれから下がってくると思うんですよ。そういう意味ではマンガ志望者の人達には順風ではないというか。昔のような「マンガ家で食っていくぞ」という考えの人は、自分にプロデュース能力がないとちょっと辛い時期になってきたのかなという気がしますね。
パソコン・ゲームの世界で活躍している人っていうのは今はアニメーターが多いんですよ。アニメが不況なんでアニメからパソコンに流れていってるんです。そういう意味では今マンガ家さんも原画を描いてたりするんですけど、どんどんボーダーレスになってく部分だと思うんで、「マンガで食えないならゲームでも作るか」というようなこともあるんじゃないでしょうか。全体的にはなんとかなるんでしょうけど、純粋にマンガで食っていくというのは辛い時代になるかもしれないですよね。
作家に関してだと10年位前は「作家さんを拾ってくるならコミックマーケットから」というのが鉄則としてあったんで、最初行ってたんですけれど、ここ数年になるとどこの出版社さんもそういうやり方でやってしまっているので、声を掛けた段階で「2〜3誌決まってるんです」とか「○○から出るのが決まっているんです」という話が多くなってしまいまして、プロが増えたというよりは単純に同人でやってた人達がプロにならざるを得ない状況が周りによって作られてしまったのかなという感じは持ったんですけど。

D:

コミックマーケットというのはもともと商業イズム排除みたいなスタンスだったんですよ。でも私なんかから見たら、大手さんでもゲーム系でもそうなんですけど、ベンチャー企業の宝庫ですよね。企業的に育ってってくれたらいいなとは思いますね。


B:

商業ブースなんかができてコミケ主旨からしたら反しているんでしょうけど、すごく健全な気がしてますね。

D:

なかなかよくなってきたなという感じがするんですよ。どんどんH本でもいいですから出版社になるなり、ゲーム企業になるなり、どんどん上にいって欲しいなという気はしますね。

C:

小説に関して言うと同人誌から選ぶというのはなかなか難しいですね。マンガならコミケとかに行って簡単に読めるわけじゃないですか。で、拾ってこれるんですけど、小説の場合は手当たり次第に買うわけにいかないんで。

共:

読む時間が必要ということですよね?

C:

そうそう。簡単にばーっと読んで面白そうだったら買ってくるということはやってます。私のイメージだとコミケっていうのはエロがメインだと思っているんですよ。それがいいところでもありと思っているんですけど、作家さんを引き抜きたいなと思って、オリジナルの少女マンガ系半分、エロ系半分のイベントに行ったんですけど、少女系の方は「耽美系なんです」って言ったとたんに軽蔑したような目で見て……。

一同:

(笑)

C:

で、全然話も聞いてくれなくて、コワイなと思って。次にエロ系の方に行くと暖かい感じで迎えてくれて。

B:

この差はなんなんだ?と。温度差があるんだよね。

C:

やっぱりコミケの中にもあるのかなと。

A:

女の子の中で少女コミックがエリートで、レディースコミックがあって……。

C:

やおいと美少女系を軽蔑しきってますね。

D:

投稿者を中心にやってるそうなんですが、投稿者ということはやる気があるということだから、その中から選んでいった方がいいかなということですか?

C:

そうですね。かなり投稿してくる人も多いんで、ヘタな芥川賞より数多いかもしれないです(笑)。投稿してくれてる中でなんとかしたいなと思っているんですけど、それプラスα同人誌からのピックアップということでお願いして掲載もしています。読者にはそれも好評なんです。同人誌イコール地方の読者は「いけないこと」という認識があるみたいなんで、それだけでワクワクしてくれるということがあるんですけど。商業誌の読者ってコミケの読者と重なるようで重ならないんですよね。だから同人誌業界とかって紹介すると喜んでくれるんですよ。


●コミケってやっぱり面白い

A:

作家の人を探すためにやってるんですけど、コミケに行って探そうというよりも気分だけでも味わおうと結局行っちゃいますよ。

C:

お祭り気分というのはありますね。

A:

コミケに行く時は、言われた通りにコミケスタイルして、リュック背負って手は両手使えるようにして行くんです。お札は千円札をがばっと入れといて。ハイキングに行くような感じで行って、名刺は30〜40枚持って、できればジュースとかも……。忠実にコミケスタイルを守っていくんですけど(笑)。何度か行ってるうちに少しわかるようになってきて、話してとちょっといいなと思った場合は住所とか電話番号とか知りたいわけなんですけど、そういう言い方をすると「私は販売員で、この人は外を回ってます」とか言うんですよ。何回もやってるせいか作家だってわかるんだけど、ごまかしているんだよね。でも名刺を置いてくると、そう思った人は向こうから電話かかってきますね。よく有名な作家さんでも 「○○さんでしょ?」って聞くととぼけて「販売員です」っていう人いますよね。

B:

逆に販売員だと思われて怒る作家さんもいますよね。

D:

本人が汗だくで売ってるものね、あれはいいなぁと思いますよ。

共:

やっぱり自分で作った本を売るのって快感なんですよね。

A:

読者が目の前に見えるのはこれ以上作家としてはね。まして反応がわかるわけじゃないですか。

共:

あれは同人やる醍醐味みたいですよ。

A:

でしょうね。

D:

地方のイベントで売り子やったことあるんですけど、結構面白かったですよ。

A:

だと思いますよ。私ら商業誌やってても電車の中で、半年に1回ぐらいだけど、うちの本読んでる人に会うことがあるんですよ。「よくこの人ここで開くな」と思いながら見てますよ(笑)。「それ作ってるの、 俺ですよ!俺っ」って言いたいぐらいにね。「あなたはエライ!」ってテレカでもあげたくなっちゃいますね。


●これからの同人誌の方向性

共:

これからの同人誌の可能性というか、残された領域についてどう思いますか?

A:

さっきのアマとプロの垣根が低くなったということにもつながると思うんですけど、プロから見ればプロはやっぱり商業主義ですから、そういう価値があるからプロが入り込んだわけであって、そこまでアマの人達のやってきたムーヴメントというのが商業的価値を持つようになったから我々が参入していると。
それが刈り取られちゃったらアマはどうなっちゃうのか?という質問だとしたら、そもそも商業誌に絡みとられないところでムーヴメントする資質であったし、世代交代が行われているわけですから、その部分はまた今までと違った形で出てくるだろうし、とりわけこの間がばっと増えたから商業誌が入り込んできてるわけで、元を正せば500か1000から始まって1万人とかだったわけで。どの数字か果 してアマにとって少なくて、多いという風に見るのかという論理じゃなくて中身の問題だろうから、刈り取られるものは刈り取られて、また次に新たにでてくるということ。
もう一つは今日はいろいろな分野の人がいるわけだけれど、コミケ現象とかの絡みはあるわけで、安易に使う言葉だけれど、マルチなものが出てくるんだろうなということと、コアになるものは反権的なものなんだろうなと。そうでないものは毒がないし、そこに人がわざわざ集まらないだろうと。十分可能性はあると思いますけど。

B:

同人誌の人というのは商業誌て書いたとしても上手く利用しているんですよ。商業誌をプレゼンに使って自分の同人誌を売るというのをやってきたわけじゃないですか。今のままの状態で全てのものが動いていくとは思えない部分もあるんで、これからいろいろなことが変わっていくと思うんですけれど、その辺を上手く生かして、例えば一部の即売会がなくなったり、有害規制とかマンガ出版の形態が変わってしまうとかいろいろなことが変化していくと思うんですけれど、それで今の状態がなくなっても新しい、うまく生かし方というか、どういう世界になっても上手くやれるんじゃないかというのを期待しています。
何かあっても抜け道があるんで、そこで模索して新しいことができてくるのがコミケだと思っていますので、同人のこれからに危惧していない部分もあります。

D:

コミックマーケット自体のあり方の問題もあるんですけど、サークルの新陳代謝というのがコミックマーケットというのは非常に遅いんですよ。何に原因しているかというと、客寄せも必要なんだろうけど、大手という人達に力のある人が強すぎる。
だからその人達には企業ブースも生まれたことですからそちらの方に移行してもらって、プロになってもらって、新しいサークルさん、落ちている人達をどんどんスペースに入れてあげられれば、先行きということを考えるんであればそういう方向性に動いていかないと、新陳代謝していかないので発展性というのが少しサビてるんじゃないかと思うんですよ。

共:

同人誌印刷屋の立場からもそういう人達に「プロになりなさい」と言ってるんですか?

D:

ええ、うちはしてるんですよ。出版社を紹介したりしてます。

共:

印刷物が減ったりしません?

D:

売れれば来るわけで、同人誌出せない位売れて忙しくなれば、それはその人のためじゃないですか。

B:

自分で出版しちゃってもいいと思うんですけどね。

D:

そうですよ、大手という人にはベンチャービジネスでも何でも勝負してほしいと思いますよ。結局1万とか2万再販して、トータルで5万部とか売るサークルもあるわけですから。十分商売になると思うんですよ。

A:

出版社として成り立つよね。

D:

現実に幾つか成ってるサークルもあるわけで。

A:

流通もあるわけだし。

D:

だからどんどん新しい人をコミケのスペースに迎え入れてほしいというのが私の意見ですね。やっぱりマンガ家を目指している人達っているんですけど、今投稿とかしないんですね。なれたらなりたいという。コミケ出てて編集者の方から来るのを待ってる状況なんですよ。消極的というか。どうしてもなりたいというのが、昔ほどないんです。自分の描いた原稿がお金にならなきゃやだというのもあるんでしょうが、投稿作というのはボツになったら終わりじゃないですか。そういう流れもありますね。

C:

同人誌って一番最初ファンクラブから始まったんですよね。

D:

そうです、そうです。ファンジンっていう。

C:

だからたががハズレているっていうんですか、商業誌じゃやっぱりできないことっていうのが同人誌の方ではあるんじゃないかと思うんです。パロディなんていうのは同人誌の文化だと思うし。パロディ作家とオリジナルの作家の差っていうのは、パロディをやってる方っていうのはキャラクターをたてるのがすごく上手なんですよ。だから投稿という一つの道もあるけれど、同人誌というのも鍛えられる一つの道でもあるんで、同人誌としての可能性は十分あると思うんです。

共:

対談もかなり長くなりましたので、話しはつきませんがそろそろ終わりにさせていただきたいと思います。今回は貴重なお話をありがとうございました。今回聞き逃してしまったことや、もっと深く聞いてみたいことは次回にまた持ち越しということで。その際はまたよろしくお願いします。

 

実はこの対談、ゆうに3時間は越えている。場所は共信印刷の事務所。
気の利いた飲物も用意できず、缶ビールにつまみのみという形で行われた。
皆さん本当にありがとうございました。


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