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『アジアinコミック2004 アジア女流マンガの世界』シンポジウムは、2日間をそれぞれ2つのプログラムに分けて開催された。
初日の2月21日は、女性編集者らによる各国の漫画出版をテーマにした討論、また22日には、各作家による作品紹介と意見交換が行われた。
各セッション(テーマ別討論)のパネリストは、以下の通りだ。
●21日「アジア女流マンガ編集のテクニック」(編集者)
インドネシア/ラトナ・サリ氏
韓国/金英中(キム・ヨンジュン)氏
フィリピン/テリー・バガルソ氏
日本/山内靖子氏
●22日「アジア女流漫画創作の秘密」(漫画家)
インドネシア/アンズ・ヒザワ氏
韓国/朴素煕(パク・ソヒ)氏
フィリピン/ティナ・フランシスコ氏
シンガポール/フー・スウィ・チン氏
日本/渡瀬悠宇氏
他に2日間通して、韓国を中心に少女漫画を研究している佐島顕子氏(福岡女学院大学助教授)がパネリストとして参加し、今回の現地調査とコーディネートを担当した木村忠夫氏(日本漫画学院院長)が司会をつとめた。
パネリストの経歴などは、国際交流基金アジアセンターのサイトで見ることができる。
http://www.jpf.go.jp/j/others_j/whats_j/0401/01-03.html
このシンポジウムでまず興味深かった点は、これまであまり紹介されることのなかったインドネシア、シンガポール、フィリピンの漫画家、そして編集者の生の声を直接聞けたことだ。ほとんどの作家と編集者が、多くのスライドを用意して、自分たちの活動を具体的に紹介してくれた。各地域の雑誌や作品、漫画関連イベントの画像を目にすることができただけでも、来場者には大きな収穫だったはずだ。
参加国のなかでは、韓国の漫画は日本に紹介される機会も増えてきたが、インドネシアやシンガポール、フィリピンの作品は、残念ながらこうした場以外では見られないのが現状だ。
インドネシアの作家、アンズ・ヒザワ氏の作風は、日本漫画のそれとよく似てはいるが、色使いやコマ割り、トーンワークなど、繊細でかつ迫力に満ちており、テクニックの確かさを感じさせた。
シンガポールの作家フー・スウィ・チン氏は、大変個性的かつ先鋭的な画風が印象的だ。その作品はアメリカでも出版されているという。彼女のプレゼンテーションでは、シンガポールでの漫画フェスティバル的なイベントも紹介され、シンガポールならではの文化環境を知ることができた。
編集者による発表の中では、小学館の山内靖子副編集長による、日本の女性誌市場についてのプレゼンテーションが、非常に具体的で、海外からの参加者にも分かりやすかったのではないだろうか。年齢による雑誌の細分化や、家族関係・育児・政治へと多様化する作品テーマなど、日本における女性向け漫画の現状がよく表現されていたと思う。
意見交換・質疑応答の時間では、各国のパネラー間で共通の悩みも飛び出した。漫画家自身が年齢を重ねるとともに、自分の身辺の題材や描きたい題材と、主な読者層である10代の少女たちが求める内容、その間のギャップに苦しむ時があるというのだ。
日本の場合、作家がレディス・コミック(あるいは青年誌)に移行するなどして、年齢なりのテーマに取り組む機会を持てるが、市場自体が依然不安定な他のアジア各国では、誌面で描ける内容が、10代向けの学園もの、恋愛ものなどに、どうしても限られてしまうようだ。
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